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SUNNYSIDE STORY

女性から男性へ。たとえ性別が変わっても自分らしく働ける理由 竹森理久

2019.01.24

その人らしく働く。そのために大切なことは、その人の個性を受け入れることなんだろうと思います。仕事内容や労働環境を整えることも、もちろん大切です。ですがそれ以上に、一緒に働く人がどんな人なのかを知り、受け入れることの方が大切。色んな個性を持つ者同士、力を合わせて活き活きと働くサニーサイドのスタッフを見ているとそんなことを感じます。「自分を認めてくれたというのが、長く続けてこれた一番大きな理由ですね」トランスジェンダーとして生まれ、女性として入社したものの、現在は男性として働く竹森さんも、そうした大切さを実感している一人です。

「社長にカミングアウトした時、今までの抑えてきたものが込み上げてきて、気付いたら泣いてましたね(笑)」自身のセクシャリティについて、初めて会社に打ち明けた時のことを竹森さんは話してくれました。学生時代にいじめを受けた経験から、自己表現が苦手で、いつも他人の目を気にしてきたという竹森さん。サニーサイドにカミングアウトできたのも入社して4年が経った頃でした。「当時のパートナーにフラれたのがきっかけで、見返したいという思いから性別適合手術を受けようと決心したんです。そこでようやく会社に報告することが出来たんですが、『なんでもっと早く言わんの。水臭いやん』『なんとなく分かってたけどな』っていう感じで自然に受け入れてくれました。その後もこれまでと何も変わらない対応だったのが嬉しかったですね」性別や年齢、障がいの有無など、分かりやすい枠でカテゴライズしてしまうのが人の性(さが)。しかし、そうした枠を取り払って初めて、本当の意味でその人の個性を理解でき、受け入れられるのかもしれません。個性的な仲間と共に歩んできたサニーサイドには、そうした枠に囚われない文化が根付いていました。

学生時代から福祉関係の仕事に就きたいと考えていた竹森さん。サンラインの仕事を通じて、障がいや様々な事情を持つ人たちの就労訓練を行う日々を「やりたかったことと一致している」と話してくれました。就労訓練というと、ビジネススキルや社会人としてのマナーを教えるというイメージがありますが、竹森さんの「やりたかったこと」は、それとは少し違っていそうです。「出来んと思ってた子が出来るようになった姿を見るのは本当に嬉しいんです。僕らが諦めたら何も起こらないんですが、きちんと向き合ったらみんなのポテンシャルを引き出せる。それがやりがいですね」向き合ってポテンシャルを引き出す。その言葉には教育や訓練が持ちがちな「与える」というニュアンスはなく、「その人が本来持っている力を信じる」という竹森さんの信念が宿っているようでした。男か女かではなく「自分」という一人の人間を受け入れてもらえた喜びを知っている竹森さんだからこそ、関わる人一人一人の個性に向き合って、自分と同じような喜びを実感してもらいたい。それが竹森さんの「やりたかったこと」なのかもしれません。

最後に、竹森さんに今後の目標を聞いた時、少し意外な答えが返ってきました。「もっと利用者さんとしっかりと話せる時間を作って、その人に合った支援計画を作っていきたいと思ってます。それから、これは出来たらなんですけど、将来的には猫カフェもやってみたいですね(笑)。今後、会社で色んな事業をしていくので、猫カフェをやることになれば是非関わりたいです(笑)」無類の猫好きの竹森さんが猫カフェをやりたいと思っていることに何の疑問もありません。ですが、自己表現するのが苦手という竹森さんが、ご自身の意志を伝えてくれたことに少し驚きました。「会社にカミングアウトしてからなんですけど、自分の思ってることをちゃんと言葉にして伝えようと努力してるんです。まだまだ自分に自信なくて苦手なんですが…」学生時代、安易にカミングアウトしたことで辛い経験をした竹森さん。自分のことを人に話す時の大変さは、きっと私たちの想像以上なんだろうと思います。それでも自分を伝えたいという気持ちが湧き上がってくる。それはお互いの個性を受け入れ合う文化があるからこそなのかも知れません。「毎日色んなことが起きて仕事は大変ですし、トイレや更衣室の問題など、セクシャルマイノリティへの壁はまだまだあります。でも、自分を受け入れてくれた仲間や会社には本当に感謝しているので、会社のために何かしたいっていう気持ちは強いですね」お互いの個性を受け入れ合う。受け入れられた個性は、本来持っている輝きを取り戻し、自ら周りを照らし出します。それが「その人らしく働く」ということなのかも知れません。

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